「般若 真言」(はにや まこと)レポート 

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国際銅相場のテクニカル分析
国際銅相場2000年前半回顧
銅業界再編と鉱山生産コスト 
銅鉱石と銅相場
 
国際銅相場と世界景気動向

国際銅相場と需給の動向
国際銅相場とインフレ(デフレ)動向の関係

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金融・商品市場には色々な役割・使命がありますが、ここでは主に国際
銅市場を例にとり、市場で取引された結果の価格、相場を積極的に
どのように生かせば良いか考えてみたいと思います。
相場は、その参加者の先行きの期待値の総和であり、また、3ヶ月から
8ヶ月先を読むとよく言われます。その意味では、集団心理の表象として
捉える事も出来る訳です。
 
かの著名な経済学者ケインズは、株式相場を「美人投票」になぞらえ
自らも投資をし随分儲けたとのことですが、他人の投資判断や行動を
読み先回りすれば有利になるとも言えます。多数の人が上がる或いは
買いに入ると思われる銘柄を選び、自分も投資するという事は、一種の
「人気」を判断して行動するという事です。商品相場でも、他の参加者は
どう考え行動するのかを推量る心理的側面が重要になって来ます。
 
 しかし、見知らぬ相場参加者の心を読みつつ相場の先行きを予測する
事は、至難の技と言えます。では、この心理的側面を数値化したものは
ないのでしょうか、結果としての出来高・取組高は人気度を計る一つの
指標ですが全てではなく、又残念ながら他に確としたものは有りません。
相場変動で利益を上げようとする参加者の心理は複雑で葛藤の多い
ものでしょう。相場は常に何時上下反転しても不思議でなく、「まだはもう、
もうはまだ」だけでなく、「もうはもう、まだはまだ」の場合もあるからです。
 
商品相場参加者は、当業者、ファンド、金融機関、商取業者、個人等
ですが、このような自己の心理的葛藤を回避し予断を排する為に、様々な
テクニカル分析を活用しプログラム売買が増えているようです。特に
ファンド運用ではこの傾向が強いようです。テクニカル分析には、伝統的な
ローソク足や移動平均線、一目均衡表、ストキャスティクス、・・・と多くの
品揃えがありますが、いずれにせよ売買のベストタイミングをはじき出そう
とするものです。最近商品相場が、現物の需給状況とは無関係に或いは
突然動く事があるのには、プログラム売買に一因があると言えるでしょう。
 
上記の通りテクニカル分析には、数多くの手法がありますが、ここではRSI=
相対力指数をCOMEX銅相場に当てはめ見てみたいと思います、添付は
1998年以降7月21日迄のもので、現在買われ過ぎを示しています。果たして
数日中に反落するかどうか、注目したいところです。参考までに、同期間中の
COMEX金相場のRSIも添付しました。「銅」は「金」に同じと書きますが、この
期間の両相場の動きには、強い相関関係はないようです。
この期間だけをとると、金相場よりは銅の方がRSIを活用すれば、良い結果を
得られたように判断されます。RSIの示す指標65以上が売り、35以下が買い
目安で、グラフの系列1がRSI(左目盛)、系列3が足元終値(右目盛)を
示しています。参考までに付けた系列2は、慣性振幅指数(左目盛)です。
 
 
                 平成12年7月22日


国際銅相場2000年前半回顧      トップへ

今年の非鉄相場は、米国中心とした世界景気の好調に伴う
需給逼迫
予想を
背景とした大方の強気見通し通り、銅・アルミ等は約2年半ぶりの高値を
付けスタートし、堅調に推移していました。しかし、中国の買付けや取引所
在庫の着実な減少が見られたものの、4月には大きく値を崩してしまいました。
その大きな理由は、マクロ・ヘッジファンドの代表格である有名大型ファンド
の挫折・精算に伴う非鉄・貴金属先物市場からの撤退あると考えられます。
3月末にタイガーファンドの精算が明らかにされ、その前後アルミ・銅・ニッケル
それにパラジウム買いポジションが手仕舞われ、各相場とも急落しました。
因みに4月末には、あのジョージ・ソロスのクオンタムファンドが行詰りました。
 
このことは、最近の商品相場に与えるヘッジファンド・商品ファンドの影響
力の大きさを改めて思い知らされた感じでした。5月以降非鉄相場はやや
反転したものの、ファンドの動きも鈍く、オプション取引を含め出来高・取組高が
減少し、取引所在庫の漸減傾向にも拘らず値動きもパッとしていません。
現在このようなファンドは、世界で4千程設定され、40兆円前後(米国の
経常赤字と同額)の資産残高があると言われています。日本で馴染みの
ある投資信託と違う点は、証拠金取引で資産額の何倍かの金額を運用し
所謂レバレッジ(梃子)効果を活用して、株・債券現物市場や金融・商品先物
市場に投資することにより、預かり資産の利回りを高めようとすることです。
 
さて、需給関係が引き続き好転しつつあるのにも拘らず、銅相場はこのところ
C80/LB前後での小動きに終始していますが、これは米国経済の先行き不安
ファンドを中心とした投機的な売買の減少に起因しているようです。ところで
足元の波瀾要因は、米国北西部の電力料金急高騰に伴う赤字操業回避の
動きで、2社のアルミ精錬所に続き銅・モリブデン鉱山が一時閉鎖となりましたが、
今後この動きが広がるかどうかでしょう。米国の電気料金体系は良く判り
ませんが、スポットと長期契約があるようで、高温による需要急増や水不足に
よる水力発電低下で供給が追付かず、ワシントン・モンタナ・ワイオミング州等
スポット価格がなんと5〜40倍になっているようです。
 
今年前半の銅相場、米国長期国債利回りやアルミ・亜鉛相場の動きを添付
通りチャート・表にしましたが、銅相場と米国長期金利にはやはり強い相関
関係があるようです。8月半ばに米国のFRBが更に利上げをするか注目されて
いますが、銅相場の行方にも大きな影響を与えそうです。一方、ひとつ奇妙な
点は、取引は非常に少ないものの銅鉱石のスポット取引の熔錬・精錬費が
1年半前に比べ約3倍に高騰し少し鉱石需給が緩和しているようなことです。
いずれにせよ、銅相場今年後半は、需要の大きな落込みは無いので、米国
景気見通しと長期金利・電気代の動向に左右されるかも知れません。
 
 
                2000年7月11日
 
                                    般若 真言
 



銅業界再編と鉱山生産コスト  トップへ
今年は、日本や非鉄業界に限らず、世界的且つ全産業分野で、分割・ 買収・合併等を
通じた企業のリストラ・再編・統合が急速に進みました。
攻撃的なものであれ防衛的なものであれ、これら再編・統合は合理化、 コスト削減、
不採算部門の切り捨、生産拠点の削減や減産等を伴うもので、 収益性を高めるのが
目的ですが、多かれ少なかれ当該企業の価値 (即ち株価)向上を狙ったものです。
銅資源会社の分野でも、BHPの不採算部門閉鎖や減産、Phelps Dodgeと Cyprus
Amaxの合併、Grupo MexicoのAsarco買収等の動きがあり、 やはりリストラ・再編・
統合が進みました。勿論、昨年来の銅価低迷に 伴い、株価低迷が買収・合併の背景に
あったことは否めまず、また一部の 銅鉱山は赤字操業に泣かされていました。添付した
2年程前の資料で、 世界の代表的な銅鉱山のキャッシュ生産コスト(金利・償却費を
含まぬコスト) を眺めてみると、70セント/lb以下の銅価では厳しい経営環境である
ことが 理解できます。 さて、このような銅資源会社の再編・統合は、原油高値を演出
している 最近のOPECのように、今後価格支配力を高めることになるのでしょうか、
過去米国で生産者価格(P.P.)が支配した時のように。CRUの10月レポート によると、
銅鉱石・精錬部門の統合度は次の通り高まる見込みですが、 業界がそのようなパワー
を将来持ちうるとは余り考えられません。 いずれにせよ来年も、このような業界再編は、
グローバル経済の拡大・深化に 歩調を合わせ国内のみならず世界的な規模で更に
進展するでしょう。 因みに、銅以外の主要非鉄業界の統合度は、同レポートによれば
以下の 通りで、こちらも集中度は着実に高まっています。                

2000年全世界に占める生産量割合(%、括弧内は1998年)   
             上位5社    上位10社
銅鉱石          40(38)     56(55)   
銅精錬          31(26)     46(40)   
アルミ製錬        36(25)     48(40)

1998年西側世界に占める同割合(%)   
亜鉛鉱石        33        50   
亜鉛製錬        36        57   
鉛鉱石          42        60   
鉛製錬          33        41


銅鉱石と銅相場  トップへ
銅地金の原料である銅鉱石(正式には銅精鉱)の年間生産量は、 銅量で、全世界
約11,800千トン(うち旧自由世界9,800千トン)。 日本はチリ‐を筆頭に約30ヶ国から
鉱量で年間4,000千トンを輸入 しており、世界の貿易量の6割程度を占めると言われ
ます。
鉱石の価格決定方式は細かく複雑で一般には判りにくいものですが、 単純化すると、
月間LME銅現物平均価格に貴金属(金、銀等)含有 価額を加え、熔錬費(T/C)精錬費
(R/C)を差引いたものが販売価格と なります。売買契約は長期契約T/C(Treatment
 Charge)、R/C (Refining Charge)等の条件を毎年見直す方式が殆どですが、この
T/C、R/C条件改訂が交渉の中心となると共に、足元及び先行きの 鉱石需給関係が
反映されたものとなり、結構大きく変動します。 長期間のデータが手元にありません、
添付のグラフでは、1995年 以降四半期毎の長契のT/CとR/Cを総合したものの推移と
、同四半期 毎のCOMEX期近物価格平均価格の動きが示されています。鉱石の 需が
緩慢な場合熔錬・精錬費が高く製錬会社(Smelter)の方が有利、 タイトな際には両用
が安く産銅(鉱石)会社(Producer)が有利となります。 驚く事に、最近5年の殆どの、
銅価は鉱石の需給関係とは逆の 動きになっており、今年の第二四半期からその動が
修正され始めた ようです。最近アルミ地金の原料であるアルミナのスポット価格が、 月
のカイザーアルミナ工場の爆発事故直後から、供給逼迫となった ため急騰し、以前の
倍以上(140ドルから300ドル/トン)になりました。 これに呼応してアルミ地金相場も
高騰し、添付別グラフ通り、鉱石・地金 共タイトな需給関係にある亜鉛相場と共に今の
高値圏にあります。 以上、銅の原料需給・価格と相場との関連を簡単に眺めましたが、
アルミ・亜鉛も、事情は異なるものの当面原料・地金共需給タイトの 状況が続くようで、
相場下支えの材料の一つだと思われます。

国際銅相場と世界景気動向  トップへ
国際商品相場を動かす基本的な材料・要因は、需給関係、インフレ、 そして世界景の
三つですが、今回は国際銅相場と世界経済 動向との関連を見てみたいと思います。経
済の動きは、各国のGDP(国内総生産)の実質成長率を指標と する訳ですが、残念界
を網羅した長期的な統計数字は無い ようです。ここでは、OECD(経済協力開発機構在
加盟29カ国で 欧州、北米、日本等先進諸国が中心)が集計或いは推計したOECD 国
全体の実質GDP成長率の年推移と、銅相場(COMEX銅期近物 年平均価格)推移を付
のグラフにてその関連を検証してみます。 1975年以降のデータで二つの指標を眺め、
取引所在庫の 増減動向や米国長期金利動向と銅相場との関連に比べ綺麗な 相関で
はなく、それなりの関係を示しているようです。これは、 GDP把握の統計的限界(最本
でも話題になっていますが)や、 中国・CISなどの旧共産圏及び東南アジアの殆どのが
OECDの 集計から除外されていることが影響しているかも知れませんし、経済 成長様
に銅の消費が伸びるとも限らないからかも知れません。 さて、最後に留意すべき点と挙
げると、これまで述べた三大要因は、 夫々が一方的に商品相場に影響を与えるだけ、
相場から逆に 作用を受けると共に、相互間でも影響し合う点です。(図ー巧く描けま が
ーで示すと以下の通り)
                          需給        
       ・  ・  ・             
 ・  相場  ・             ・ ・      ・ ・           景気 

インフレ(デフレ) 最近の例では、今夏米国産銅会社を中心に減産、リストラや再編が
相次ぎましたが、これらは需給緩和に伴う銅相場の長期低迷とデフレ 経済を背景とし
ていましたし、そのような動きが需給関係改善の期待を 招き銅相場を押し上げ、9月は
83セント台の高値を示現させました。 相場と各要因のどれが、どの様に、どの程度響
を及ぼすか或いは 相互作用をするのか、時期・局面によって異なり、また作用の仕方も
複雑だと思います。どれもが、世界の人間の経済活動の和というか 結果が現れたもで
あると考えると、むべなるかなとも感じられます。


http://www.benet.ne.jp/arai/souba/kokusai.gif  国際銅相場と世界経済動向


国際銅相場と需給の動向  トップへ
前回お話しました通り、商品相場は長期的には現物の需給関係を 色濃く反映する訳ですが、この需給関係を具体的にどう捉えるかは 実に厄介な問題で、巷ではよく「不足」(shortage)或いは「余剰」 (surplus)といった形で表現され、通常不足・余剰の数字も付随して ニュースとなり話題にのぼります。
銅地金に付いては、所謂メタル・アナリスト、銅加工協会(IWCA)、 統計機関(CRU)等が都度発表していますが、残念ながらその根拠が 正確かどうか実際のところあやふやで、夫々の数字も可也異なります。 この需給関係が正確な数字で把握されないのは、集計の漏れ、誤差、 統計の不備(特に旧共産圏諸国)等が原因と考えられます。足元の 数字が正確に掴めないのに、先行きの見通しを立てるのは更に おこがましく、全くの当て推量となりがちです。 それでは、正確に数字が把握された需給関係を示すものは何かと いうと、それは取引所在庫であり、銅地金の場合はLME・COMEXの 在庫ということになります。この在庫動向が世界的な需給関係や動向を 如実に示しているとよく言われますが、取引所が最終受渡市場 (terminal market)であるとの観点に立てば、言い得て妙であり、 相場の動向との関係を検証する価値があります。
今回は、1975年以降先月迄の各月末時点のLME・COMEX在庫と COMEX期近物各月平均価格とを、添付のグラフで二者の関連を 見てみます。在庫が低レベルの際には相場が高水準にあり、逆の 場合は逆となっており、完全ではありませんが逆相関関係を示して いることが読み取れます。 1980年台半ば以降、コンピューター利用による加工工程・在庫管理の 発達により各流通段階での手持ち在庫は、徐々に又相対的に減少して 来ていること、世界の需要が着実に伸張してきていること、を斟酌しても、 1988〜90年の在庫水準は異常に低く、一方今年の水準は異常に高いと 判断されます。現在の在庫水準(両取引在庫合計約90万トン)を 見る限り、足元の銅価格は、少し下駄を履いている感じが否めません。 来年初頭、これら在庫がこの程度の侭推移し、インフレ懸念が遠のき 米国の長期金利が安定或いは低下し、Y2K問題がクリアされていれば、 銅価格の下方修正が濃厚となる可能性が大きいと考えます。

http://www.benet.ne.jp/arai/souba/soubazaiko.gif  銅相場−在庫」


                         
国際銅相場とインフレ(デフレ)動向の関係  トップへ
ご承知の通り、商品相場は長期的に見れば、その現物需給関係 (ファンダメンタルズ
)と、それに加え世界の景気(特に米国を中心 とした先進諸国の景気)動向及びイン
フレ(或いは、逆のデフレ)を 反映して変動します。勿論、株式相場のような他の相場
と同様に、 これらの要因を3〜6ヶ月先行・先読みし,織り込みながら動いて行きます。
1980年台半ば(丁度、錫危機が有った頃)から、本格化した世界的な 金融取引の
規制緩和・自由化とコンピュータ・ネットワークの 広がり(所謂「情報通信革命」)に
より、商品市場にそれまで 余り参加していなかった金融機関やファンド(投資信託が)

等の 機関投資家が、資産運用の目的で参入し始め、今日では大きな 比重を占め
且つ相場形成に多大な影響力を持つようになっています。 極端な表現をすれば、
それまでの商品市場は、当業者(生産・加工・流通業者)、 商品取引業者や個人の
ヘッジ売買の場であったものが、巨大資金を運用する 場の一つと化し、商品市場の
機関化現象が進行した訳です。 この為、商品相場は、それまでの需給関係(例えば
戦争、ストライキ、 増減産等の動向)よりは、世界の経済現象(景気、金利、株・債権
等)の 動向やコンピュータを活用したテクニカル、プログラム(オプションを含む) に基
ずいた売買に大きく左右されるようになって来ました。 以上の視点から、先ず国際
銅相場とインフレ(デフレ)動向の関係を 眺めてみると、添付したグラフの通り、
COMEX銅相場と世界のインフレの 指標である米国長期金利(30年物国債利回り)
は、見事な相関関係を示しています。 即ち、インフレの局面(利回り高騰)では、
やはり銅相場も高水準にあります。 昨日同利回りは、6.09%に低下しており、
本日発表される米国雇用統計の内容 如何で又振れそうですが、6%を割ってくると
銅相場も当面軟調に推移する事が 予想され、早晩70セント前半まで落ち込む恐れ
もありそうです。 今回は、取敢えず銅相場とインフレ=長期金利の動向に的を絞っ
てお話しました。

http://www.benet.ne.jp/arai/souba/kokusai.gif 30年物国債利回り月足




http://www.benet.ne.jp/arai/souba/comex.gif  COMEX銅相場